昭和生まれのヒゲじいたちが電話をかけるときは丸いダイヤルに指を入れてジーコ、ジーコと回していました。
その後、プッシュホンが席巻したのですが、いまどきは、「スマホ」なので指先でタッチするだけです。
昭和の機械式カメラといまどきのデジタルカメラの比較のようですよね。
デジカメ世代の若い人に、フィルムの装填、露出調整、ピント合わせ、フィルム巻き上げなどと言っても通じなくなっています。
もちろん、昭和の時代のカメラでも、自動化の工夫はされてきました。
今日、ご紹介するのは昭和38年(1963年)に自動巻き上げ・巻き戻し、自動露出を実現した『キャノンダイヤル35』です。
巻き上げ・巻き戻しはスプリングモーター、つまりぜんまいでした。そのため、巻き上げレバー、巻き戻しノブがなく、スッキリとしたデザインです。当時はまだ、電話もない家庭も多かったはず。そんな中、「ダイヤル」はカッコイイ存在であり、それをカメラデザインのモチーフにしたのかも知れません。
昭和39年の東京オリンピックの前年という時代を象徴するようなモダンなデザインです。
ただ、修理人にとっては、傷つきやすいアルミ外装、ユニークなボディ構造なので、手間のかかるモデルです。
工房へやってきた個体はシャッターの粘りでシャッターが切れなくなっていましたので、修理をしましたが、内部に大量のモルトプレンが使用されており、それが、ボロボロになっていました。まるで、トトロに出てくる「まっくろくろすけ」のようでした。
アルミの白いボディがカッコイイのですが、なにしろ柔らかい!
グリップをまわしてぜんまいを巻きます
